▼attention!
・性描写はないけど裸体の描写があるのでにがてな方はご注意ください
・CPっぽくなくて、ぽっぽ(チームふぁいぶでぃ~ず)からふたりを抜き出した日常、ジャック+クロウというかんじなので、ホモホモしいのを期待するとガッカリイリュージョン



 雲ひとつない朝の空は、太陽をはばむものがないから、とても澄み渡っていて、どこまでもうつくしい晴天が行き渡っている。噴水にあそばれる水滴がきらきらと反射する。風はよわく、ほとんど吹いていないといってもいい。
 午前中独特の、水っぽさをふくんださわやかな空気だ。噴水にちかいというのもあるけれど、深呼吸すると、肺の奥の奥まで染みわたる新鮮な空気が心地いい。
「わりいわりい。気をつけるよ」
「きさま、また遊星にだけ従いおって!」
「そんなつもりねーよ!」
 ふたりが同時に立ち上がると、身長差が目にあまる。でもいちばんそれをものともしないのは当人同士で、鼻がつきそうなくらいの距離までかおを近づけ、ぎりぎりと睨みつける。
「喧嘩はだめだってばぁ!」


―――


「いいかてめーら、手をはなすんじゃねえぞ。こんな人ごみだ、迷子になっちまう」
「はーい! ねえねえ、クロウ兄ちゃん、あれなあに?」
「あれはなぁ、わたがしっつう、砂糖のかたまりさ。みんなで一個食うか!」
 ゴウンゴウンと重厚な音を鳴らしながら、繊細な糸を割り箸に巻きつけていくその様子は、子どもたちの目にどううつるのだろう。クロウはそう考えるたび、満たされていく子どもの好奇心・ささやかでいじらしい欲望を思案するたび、自分まで幸福に抱きしめられたみたいに、上機嫌になってしまう。かかとのところから、耳のうしろまで、電流のようなものが駆けあがる。あたたかい温度を孕んでいる。
「んじゃジャック、支払いは頼んだぜ」
「おい待て!! クロウ、これはどういうことだ!!」
 両手にひとつずつ、ぷよぷよとした紅葉を、また、首のうしろに乗せた子どもにあたまを掴ませながら、ジャックは出来るだけ微動だにせず激昂した。
「んだよ……はやくしねえと、大会始まっちまうぞ」
「この状況を! 説明しろ!」
 手癖のわるいすばやさが、小銭を支払った。それを咎める間もなく、先を行くホウキ頭に問いかけても立ち止まることはないし、渋々といった体で、引っ張られる両手に、いまにも引きちぎられそうな髪を心配した。