▼attention!
・ぽっぽクロジャ風味
・エロはぬるいです


「う~ん、味、濃いかなぁ……。どう思う?」
 ジャックの自分勝手な言い草に、まっすぐと向き合ってみせる。反発するでもない、そうやって真面目ぶることがいかに嫌味にうつるかなど知らぬ瞳で、遊星とクロウを見やる。一瞬でも困った顔をした無機質なツラを尻目にほくそ笑む。そのまま食卓を後にしてしまえばよかったのに、ジャックはにやにやと根性の曲がった笑みを浮かべている。
「いんや、こんくらいが丁度いい!」
 箸を振りあげてそう言ったクロウの行儀悪さには目を瞑ろう。たとえその箸先に付いた米粒が、自分の服に飛んできたとしても、クロウのご機嫌な顔にはなにか不思議なパワーがある。ジャックのこころを晴れ晴れとさせるなにかだ。非礼を許してしまえるってすごく貴重なことだし、それは深い愛情と高等な精神が成せるものだ。ジャックはそう思う。
 けれどその幻想を真正面から叩き斬ってしまう残忍さを持ち合わせている。端が煮崩れたかぼちゃを箸で突き刺して、からかうみたいに眉をくいっと引きあげる。意地悪い声が無遠慮に投げつけられる。
「一日中働いた身体にゃ、ちっとくらい濃い方がいいのよ。どっかの誰かみてえにろくに働きもしねえやつには、しょっぺえかもしれねえがな」


―――


(やべ……ティッシュ。シーツよごしたら、洗濯が)
 そうやって片手をベッド周りに這わせてみたところ、体温にぶつかった。ジャック、と認識する前に捉えられて引っ張られて、ついでにと性器も強く握られてしまって、クロウはすっかり絶頂を逃してしまった。行き場のないくすぶりを抱えて喉を唸らせる。
「……な、んだよ。邪魔すんなあ」
 寝起きのような目で見やると、ふくれっつらのジャックがいる。口をつぐんでじと目で睨んで、いまにも文句を言いだしそうな頬をしている。一体どうしたというのだろう、問うより先に、ジャックの右手が竿を擦ったから、思わず素っ頓狂な声が出た。明るい部屋に反響する。跳ねっかえって、下のふたりに聞こえてしまったんじゃないかと、息を潜めた。その落差・響いた途端に打って変わって無表情になった、寂しく感じる静かな部屋。ふたりきり。
「ばッか、なに考えてんだよ!」
「そ・れ・はこっちの台詞だ! 自分勝手に、ひとりで……パートナーに対する思いやりというものがないのか?」